昔々会社勤めをしていたころ、展覧会鑑賞みやげに先輩から一枚の絵葉書を頂いた。
何気なくデスクに飾っていたのだが、いつしかそこに描かれた男の人生が妙に気になり、
同時にベン・シャーンという画家にも興味をもった。以来30年間、静かで力強いその絵葉書は、いつも私の傍らにあった。
ベン・シャーン展が開催されるときいて、一月末神奈川県立美術館葉山館に駆けつけた。「砂あらし」Dustの実物と対面できた。
「どんな人間も、またどんな人間のグループも、地球のどの部分にせよ、そこを生存不能の場に化する権利をもっていない。」 という信念のもとに、時代と社会を背負った人物が深く描き撮られていた。
ビキニ環礁水爆実験の犠牲となった第五福竜丸事件も細かく取材して描いていた。
このたびの3.11大震災と福島第一原発事故を、ベン・シャーンだったらどう描き撮っただろうか。
ベン・シャーンだったら・・・