ギャラリーシュタイネでは、作家から寄せられたコメントを館内に掲示して、みなさまをご案内しています。花岡央の傑作「GRICE」の誕生について、ご紹介します。
「GRICE」とは、炭にしたお米(未熟米)を発色材の一つとして、ガラス原料と共に高温で熔かし込み発色させた、淡い青色のオリジナルガラスです。
発色や微泡の量などが、同じ窯の中でも若干異なるのが特徴です。熔かした直後は泡が多いため、約3日かけて微泡になるよう調整しています。
工房を開いた実家の地には、かつて「旧閑谷学校」の運営を支えるための学校田がありました。
その地で両親がお米を作り続けていますが、ある年は大変な不作で未熟米が多く、落ち込む両親。何とか元気付けたいという想いに「地元とつながるガラス作品を作りたい」という願いが重なりました。
地元の備前焼は田の底土の粘土で器を作り、もみ殻や藁は道具や窯変に使います。ヒロイグラススタジオにもこれ以上ない「縁」をもつ素材がありました。こうして、お米をガラスに熔かした淡青のガラスが生まれたのです。