ギャラリーシュタイネでは、作家から寄せられたコメントを館内に掲示して、みなさまをご案内しています。
アンドウムイ
土を使わないハイドロカルチャー(水耕栽培)と同じ考え方で、苔玉づくりをしています。かつて展示会のディスプレイのために植物用の陶器制作を依頼され、織部の緑を生かした「苔織部」を考えついたのがきっかけでした。
自然は本来あるがままで、それを栽培するという行為=プロセスのすべてが「表現」なのです。そういう意味で僕の苔玉は朽ちることまで含めた「表現栽培」」とも言うべきクリエイティブな世界だと自負しています。
大切なのは枯れないことよりも、自分がいかに目をかけ手をかける気持ちを持てるかということ。植物は枯れるものだし、陶器は割れるもの。どちらもその命のカギは、扱う人の向き合い方次第なのです。(「セトリエ」第6号・対談記事より引用)
本田あつみ わたしの内なる王国『タラコッティ』
かの有名な古代タラコッティ王国ですが、その遺跡が発見されたのは、つい最近の事です。お祭りや、宗教的な儀式に使われたと思われる数々の出土品が発掘されました。その一部を紹介しましょう。
まず「神器」という出土品は、神様に食事と酒を捧げる為の器だったと思われます。タラコッティの神様は大層食いしん坊だったようです。「妊娠したスケソウダラの神」であるタラコッティウスは、おなかが空くと機嫌が悪くなりヒステリーをおこすので、決して捧げ物を絶やしてはいけませんでした。器は一つ一つ デザインが違いそれぞれ趣向が凝らされています。一部欠けたりして不完全な物もありますが、それもまた古代の人達のダイナミックな感性を今に伝えてくれています。長く土に埋もれているうちに蝶の化石が付着してしまった、実にレアな一品もあります。
捧げものの台だと思われますがサイズが大きく、意匠も凝っているので、より重要な祭事に使われたのかもしれません。そのお祭りで人々はご飯にタラコをのせて食べた事でしょう。
タラコッティの人達は白いご飯とタラコが大好きなのです。『タラコッティ王国』は、陶芸家 本田あつみの心の中から発掘されました。本田あつみの心は、焼き物と白いご飯とタラコで出来ているのです。