ギャラリーシュタイネでは、作家から寄せられたコメントを館内に掲示して、みなさまをご案内しています。
「虫の標本箱」
小学生の頃、昆虫標本製作キットなるものが売られていた。注射器にピンセット。何やら妖しげな青い容器と赤い容器に入った、怪しい液体。殺虫薬と防腐剤だったと思う。中には標本の作り方の手引き。そんなものが普通に売られていて、子供でも買えた時代があった。道具を前にして「いざ標本製作」と思いきや、生きている虫に注射針を刺せない。ましてや掻き棒でバッタの内臓をなんて、ゼッタイに無理であった。自由研究のための、その行為をきっかけに、苦手だった虫がますます嫌いになった。
時が経ち、ものづくりに目覚めてから「機能的で美しく、神秘的な生態」に魅せられて虫を制作するようになった。制作する時は「躍動感」を持たせたいと思っている。今、まさに標本箱を抜け出しそうな虫を。
「植物の標本箱」
虫ばかりを制作していたある日、水野に「植物を作ってみたら」と言われた。アクセサリーとしては「虫よりも植物の方が女性受けするだろう」という意見からだ。それまで全く植物に興味がなかった私は、なかなかテンションがあがらず困惑した。
私は制作する時に一切デッサンという行為を行わない。物のカタチを捉えるその行為を否定する心算はないが、デッサンと造形は私の中では全く別の物であり、制作の過程でもないと考えている。私は、まず虫と同様に植物の現物を手元に置く。それを眺めながら、植生や自然界での意義などを調べてイメージを膨らませていく。そうしていると、ある日「よし、作ろう」という気持ちになる。「何故このように非効率とも思える生態をしているのか」などと考えながら制作していると、ワクワクするのである。
「ジュエリーボックス ~街並み~」
この作品は陶でできた家をいくつも並べることで、ひとつの街並みにみえるよう制作しました。よく見ると、家はどこか一か所、窓枠や、玄関扉や、室内の椅子などがアクセサリーになっています。飾って愉しんで、身に着けても愉しめる作品になりました。
アクセサリーの素材は真鍮や銅などで、気軽に普段使いできる素材です。お気に入りの一軒を選んでみてはいかがでしょうか。