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3月末、中山達磨氏からDM撮影用にと、作品「線紋変壺」が送られてきた。 灰黒の壺を前に私は唖然とした。 私にこの壺がうまく写真に撮れるのだろうか・・・ 悩んでいても埒があかないので、屋外にて撮影にはいる。 慎重に壺を置いて、ファインダー越しに狙いを定める。 レンズのピントがあった瞬間、驚いて息をのんだ。 「おまえに私が撮れるのか」と言わんばかりに、壺がこちらを見返してくるのだ。 その表情たるや、なんと気高いヤツだろう! 私はその黒い壺の凛然とした佇まいに惹きこまれていった。 その日の雲は西から東へとぐんぐん流れ飛んでいた。 壺を前に、腹這いになってカメラを構える。 すると、壺がニヤリとして語りかけてくる。 「本当におまえに私が撮れるのか」 雲が切れ陽光が顔を出したとたん、壺は「まぶしい!」と言い、 陰れば陰るで「暗すぎる!」と不機嫌な顔を見せる。 春まだ浅い林間を風がさぁっと音を立てて吹き抜ける。 行雲は冬枯れたままの木々をうっすらと透かし、気まぐれな陰を演出する。 ならば陰翳を撮ってやろうと雲の流れを仰ぎ見る。 「私を見ていれば照りも曇りも感じるはずだ」と、灰黒の壺は叱咤する。 シャッターをきりながら、私は雑誌で読んだある話を思い出していた。 十八世紀のノルウェー、一人の農夫が洞穴のあいた大樹と出会う。 寄りかかると体がすっぽりはまり、まるで木に抱きかかえられたようだ。 よし、これで椅子を作ろう。 農夫は木を伐り出し村に下ろし、一年かけてそれで椅子を作った。 椅子を作るまでのいきさつが、まるで走馬灯のように目の前をよぎる。 大きなケヤキの洞穴の前にその椅子を置いてみる。 貴種流離、幾星霜。今ここに相い会う。 樹木の荘厳なドラマである。 (季刊銀河「大樹の息子」より) 壺とふたりで流れる雲を待ちながら、珠洲焼の荘厳なドラマのことを想った。 室町時代末期、奥能登から忽然と姿を消した古陶があったと言う。 「遠いあの時代にもこんな雲が流れていた」と、壺は静かに呟く。 今頃は、土が燃え盛る焔に包まれ、珠洲の空に窯焚きの煙が立ち上っているだろう。 貴種流離、幾星霜。今ここに相い会う。 中山達磨が焼き締めた土の傍らにいると、 千年の大樹の洞穴にすっぽりと抱かれているようだ。 2014年4月15日深夜、窯焚きは最高潮に達する。 達磨氏が薪を投じると、紅蓮の焔が轟音をあげて窯から煙突へ走りぬける。 こうして穴窯で7日間1200度以上の高温で焼き締められた、灰被り、自然釉、窯変の多彩な器、花器、壺、皿など、約150点を展示販売いたします。
by steineblog
| 2014-04-22 12:46
| 作家・作品・展示のこと
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