美しい海に囲まれた奥能登・珠洲で生まれ育った中山昌果は、石川県立九谷焼研究所を卒業後、珠洲に帰郷し作陶を続けている。21世紀の現代アートの世界に新しい属性を築く予感のするアーティストだ。
工房では、連日連夜、寝食を忘れて、一心不乱に土とじゃれ、格闘し、九谷仕込みの細緻な絵付けに集中する。生きとし生けるものの儚ささえも丸呑みにして、自分の作りたい生きものたちを造形し、窯を焚く。
制作過程で湧き出るアイデアや、作品への思いを、呑んだくれてはおいおい泣いて、けたけた笑って書き込んだ作品も。
「昌果って名前、えっ?まさかっ! 若い女性なの!」
妖しいエネルギーに満ち溢れた作品のモチーフは、多くが得体の知れぬ生き物たち。
「うわぁ!キモチワル~イ! けど、カワイイ?」
これこそが、昌果作品への褒め言葉。思わず知らず、目を凝らし、ついつい頬を緩めて観てしまう。
独創的にデフォルメされた昌果の生きものたちが、奥能登から安曇野にのそりのそりとやってきた。
中山昌果 Nakayama Masaka
「海底遺跡」「鳥頭花入」「ったく壺」「孵化ワニ」「錦女-kinnyo-」「イグアナ」