「春もよひ」展では、作家から寄せられたコメントを館内に掲示して、みなさまをご案内しています。その一部をご紹介します。
有吉 亙 Ariyoshi wataru
「織部」「弥七田織部」などに描かれている絵のひとつひとつは、殆どが着物の柄かもしくは古陶の織部焼に描かれているものからとっています。
模様は装飾としてよりは、器の表情(質感)の変化をねらって描くようにしています。オリジナルな柄を描くこともありますが、絵そのものの内容については拘っていません。
「織部飯碗」「織部筒湯呑」
両手で包むようにして持つと、少し変形しているのが分かります。轆轤成形直後、ヘラを下から上に擦り上げる様にして押しながら六角形にしています。
石粒の入った粗めの土が雰囲気のある表情をしています。「織部筒湯呑」も同じように変形し、同じ土を使っています。
「弥七田織部平鉢」
頭に浮かんだぼんやりとした形が、轆轤成形の作業ではっきりして形が決まっていきます。絵柄もまた同じように描きながら出来上がっていくという感じです。
「弥七田織部マグカップ」
少し変わった取手のつき方をしています。漆木皿は木工作家川合和彦さんの作品です。器本体と取手の一体感も大事ですが、漆塗りのプレートとの馴染みに興味がありました。それでこんな感じになったのかもしれません。この皿は他の作品との組み合わせもいろいろ試すと面白いのではと思います。
「弥七田織部盃」
ぐい呑みは、気持ちが乗ってくると、作るのも楽しいです。出来上がったものを並べると楽しいですね。作り手ではありますが、たくさん集めたくなる人の気持ちが良くわかります。
「粉引飯碗」
柄の入った器をよく作りますが、こんなのも嫌いじゃないです。色んなものがあるから楽しい。使い始めの白の美しさから使い込んで染みや滲みが出来てくる、その変化を楽しむ器です。使っていくうちに、角が取れて丸くなっていくような気がするのは、気のせいでしょうか。