2020年、最初の企画展のテーマは「時を繋ぐ」。冬ざれた森に佇むギャラリーで、5人の作家が、静かに時を繋ぎます。
デザイナー・貝山伊文紀は、森や林に自生する木の幹や枝から、木の成長の記憶を辿り、
年輪や木目、節痕、枝の彎曲を生かし巧みに木匙やオブジェを造形します。
或る日、シュタイネに迷い込んだ嶋浦顕嶺は、羊毛を自ら紡いで作ったコクーン(繭)形のランプシェードに灯りを点し、羊を飼い共に暮らす夢を笑顔で語ります。
人類が有史以前から加工してきた素材を使い、二人のアーティストが、現代人の暮らしをデザインします。
芸術大学で日本画を専攻した真鍋由伽子は、現在、東欧の大学で版画を学んでいます。ありふれた日常生活の名づけようのない感情を銅版画で表現し、うつろう時を行き来します。
旧東ドイツ・チューリンゲンの深い森に囲まれたガラス工芸の村ラウシャ。400年の伝統を継承するミヒャエル・ハーバーラントは、今では数少ないガラスオーナメント職人。
そのラウシャで暮らし、匠からバーナーワークの技を厳しく叩きこまれた藤田素子は、
帰国後は独り立ちし、高品質なガラスペンを作るアーティストとして活躍しています。
年々衰微していくラウシャのガラス工芸を憂い、「ラウシャのガラスの技を後世に繋ぎたい」という真摯な思いに共感します。
みなさまの身のまわりや思い出の中にも、きっと「時を繋ぐ」何かがあろうかと想像しますが、さて如何でしょうか。(作家敬称略)
「冬のシュタイネ 時を繋ぐ」は、2月9日(日)まで開催しています。
開館日は、金・土・日曜と1月13日(祝日)
開館時間は、10:00~17:00 です。
ギャラリーシュタイネ
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明7360-17
tel/fax 0263-83-5164
http://www.steine.jp